手に人を書いて飲めば緊張しない…あの有名なおまじないの秘密

研究成果や新商品の企画等を、沢山の人前で発表する時に、「全く緊張しない」という人は少ないと思います。このような機会に立ち向かう時は、自分に対する評価がかかっている事が殆どですから、並々ならぬプレッシャーに襲われます。「絶対に間違えないようにしよう、成功させよう!」と考えれば考えるほど、集中し過ぎてかえって緊張しやすくなり、体が固くなります。練習では問題なくできていたのに、本番だと言葉に詰まってうまく喋れなくなった、という経験は誰でも一度はあるはずです。

アガリ症の人だと、緊張しないおまじないとして、よく「手のひらに『人』という字を3回書いて、それを飲みこむ」という行為をしますよね。しかし、あまり効果がなく、「やっぱり、おまじないじゃ緊張を解く事はできないかぁ…」とガッカリした事はないでしょうか?この有名なおまじないの由来には諸説あるのですが、最も有力な説は、演劇等で人前に出る機会の多い人が、舞台で度胸がつくように「相手を圧倒する」という意味の「人を呑む」とかけた駄洒落が由来、と言われています。つまり、元々の由来からは「緊張を解く」のに根拠は全くなく、あまり効果を期待できるものではなかったのです。

しかし、それなのに「有名なおまじない」になっているのは何故でしょうか?それは、それなりに効果が出ていた人も結構いるからだと考えられますよね。効果があった人と効果がなかった人では、一体何が違ったのでしょうか?このおまじないで緊張が解ける理由には、以下の3つが考えられます。この3つを意識すれば、ただの迷信が、本当に効果のあるおまじないになりますよ!

まず、単純に「プラシーボ効果」が働くため。プラシーボ効果というのは、ただの水のように、本来なら何の効果も得られる筈がないものなのに、「これは体の調子が良くなる薬だよ」と言って飲ませると、何故か今まで悩まされていた体の痛みがなくなってしまう、という現象の事を指します。つまり、「絶対に効くよい薬なんだ」、と強く思い込ませる事によって自己暗示した結果、痛みがなくなるというものです。人の思い込みと言うのは、思った以上に体調にも影響するものです。ですから、同様におまじないでも「絶対に緊張しなくなるんだ!」と強く思い込んだ結果、本当に緊張しなくなってしまうという事は可能なのです。

次に、ツボによる効果です。手のひらの真ん中の辺り、具体的には中指を軽く折り曲げた時に触れる手のひらの部分には、「労宮(ろうきゅう)」と呼ばれるツボがあります。このツボは、体が疲れている状態だと凝りやすくなるツボだと言われていて、押すと緊張を和らげる効果があります。手のひらに人の字を書くと、人の字が支え合っている部分で、このツボをなぞることになります。かなり緊張している状態だと、なぞり方にも少し力を入れてしまいますよね。ただのおまじないをしていたつもりが、自然と緊張を解くツボ押しマッサージをしていたので、効果が出たという事になります。

最後に、人の字を飲む時に、息を深く吸い込んだから、という理由。実は、呼吸をするだけでも緊張を解く事が出来ます。ストレッチや体操等の手順には、それらに合わせて、深くゆっくりと呼吸する事が多いですよね。それは、呼吸でリラックスする事によって体の緊張を解き、ストレッチや体操をしやすくさせるためだからです。普段の無意識の呼吸ではあまり効果はありませんが、意識してゆっくり、深く呼吸すると、十分なリラックス効果が得られるのです。ですから、おまじないを何度も繰り返すうちに、ゆっくり深く呼吸を繰り返す事になり、緊張が解けるのです。